Iiyama's News-Storage.
inside
2008年06月11日 週刊ダイヤモンド編集部

店頭から国産野菜が消える?
米・中が肥料の輸出を実質禁止

 国産の野菜がスーパーの店頭から消える可能性が出てきた。

 化学肥料の原料であるリン鉱石の世界最大規模の輸出国である中国が実質的な禁輸措置に踏み切ったのだ。

 今年4月、中国は化学肥料の輸出関税を100%と大幅に引き上げ、翌5月にはリン鉱石の関税も100%に引き上げた。

 13億人という世界最大の人口を養うべく自国の農業向けにリン鉱石を活用するように方針を変更したためで、実質的には禁輸措置に近い。

 肥料の3大要素といえばリン、窒素、カリウム。この3つがなければ日本の農業は成立しない。にもかかわらず、日本はリン鉱石の全量を輸入に頼っており、その多くを中国に依存。もともと、危うい立場にあった。

 国際的な資源獲得競争のなかで、日本では原油や食料価格の高騰ばかりに目が向いているが、国際的には肥料も同じように重要視されている。

 「米国地質調査所が戦略的物質として位置づけた8つの資源のうち、6つは金や銅などのメタルだが、残り2つは肥料に必要なリン鉱石とカリウム」と、資源問題に詳しいジャーナリストの谷口正次氏は説明する。

 中国に限らず、中国に並ぶ世界最大のリン鉱石の生産国である米国はすでに輸出を禁止している。ロシアなどでも産出されるが、国際的に品薄状態が続いており、すでにリン鉱石、窒素、カリウムは、ここ数年で2〜5倍も価格が上昇している。

 今後、さらに入手困難になれば、中国や米国以外の国も自国の農業のために禁輸措置に動く可能性もある。そうなれば、日本の農業は窮地に立たされる。

 40%以下と先進国のなかで最悪の食料自給率を少しでも高めようと、農林水産省は、後継者不足の解消、減反政策の見直し、企業への農業の開放などさまざまな政策を打ち出そうとしている。だが、肥料がなければ国内農業生産増大は望むべくもない。

 中国産ギョーザに農薬が混入されていた事件以降、安全性を気にする消費者のあいだでは国産の食品に対する人気が高まっていた。

 しかし、中国からの肥料がなければ、食べるもの自体がなくなるかもしれない。それが日本の現状なのだ。   (『週刊ダイヤモンド』編集部 清水量介 2008年06月11日)

(ORG-URL="http://diamond.jp/series/inside/06_14_004/")


nishi (2008年6月19日)
肥料50−70%値上げへ 全農、原料価格高騰で

 全国農業協同組合連合会(JA全農)が化学肥料の販売価格を現行より50−70%程度引き上げる方向で調整していることが19日分かった。原料の価格が世界的に高騰しているためで、大幅値上げは農家の負担増となり、農産物の価格にも影響する可能性がある。今月中にも新たな価格を決め、7月から適用する。

 農産物の国際価格の高騰を受け、世界的に農業生産を増やす動きが強まっているため、肥料が不足し、肥料の原料となるリン酸、カリウム、窒素などの価格が上昇。日本の肥料メーカーは原料の大部分を輸入に依存しているため、生産コストが上がり、全農の仕入れ価格が大幅上昇した。

 値上げは今回で5年連続となる。全農は国内の化学肥料の約6割を占め、影響が大きい。

 全農は肥料の詳細な価格は公表していないが、稲作農家の場合、10アール当たり8000円前後の肥料代がかかっているとみられ、今回の値上げで大幅に費用がかさむことになる。肥料代は農家の生産費の約1割を占め、農産物の生産コストを押し上げる要因になる。(2008年6月19日)

(ORG-URL="http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/29504")

いかに永く生きたかではなく いかに良く生きたかが問題だ.(セネカ)
おやすみなさい

inserted by FC2 system