自 然 放 牧 礼 賛
動物工場(アニマル ファックトリー)化した畜産 家畜をひたすら利益追求の対象とした結果、大量供給・消費が可能となった。 しかし、家畜のいる農村の牧歌的光景のイメージとはかけはなれた、 恐ろしい現実がある。 |
●豚の頓死が続々の恐怖 飽くなき品種改良により、肉製造機械化されている家畜たち。高度に機械化された工場(豚舎)で、自動給餌・給水・空調、さらに自動的糞尿処理や完全監禁飼育。 本来、動物は自由に生きることを望むもの。いくらおとなしい豚でも、閉じ込められればストレスのため、異常な行動を起こす。ストレスを抑制のため豚舎は暗く、陰気となる。 |
●豚たちの残酷な生涯、あれこれ 1.生まれたて後,、鉄剤と抗生物質の注射 1.とがった犬歯をはさみで切る 1.シッポのカット(超過密で飼われると、強い豚が弱い豚のシッポやケツを食う共喰ういが起こるから) 1.オスは離乳直前に去勢される 1.超過密な豚舎で押し合いへし合い監禁飼育 1.おとなしく弱い豚は、恐怖でポックリ死やショック死が多発 1.養豚業者の恐怖のマト、PSS(豚のストレス症候群)が多い. |
●SPF(特定疾患不在豚や清浄豚と呼称)は安心? 世話役は、豚舎に入る場合シャワーで全身を洗い、衣服も消毒した専用着をまとう。搬入車輌の消毒も行うという徹底ぶり。 そんな中で160日ほど育てられる豚。 割高で出荷されるというが、消費者にとって望ましい肉では決してない! |
●餌に大量に添加される薬剤の恐怖 飼料用とはいえ、大量の穀物を消費している畜産業。 1kgの豚肉のため4kgの穀物。トリ肉なら2kg、牛肉なら8kgを与えるという。 その飼料や病気予防に用いる薬品と、養豚業者は切っても切れない仲。その中身は- 飼料添加物をもっとも大量に投与しているのはブロイラー向け。他の配合飼料に比べ抗生物質がなんと3倍以上。抗生物質なしにはブロイラーが成り立たないといわれる。 抗生物質は医薬品。宿命である副作用のマイナス面をもっている。 しかし、常時投与されている家畜では、病原菌も抵抗力をつける。これでは本当に病気になったら薬が効かず、さらに投与量がエスカレート、という悪循環に陥ってしまう。 これが、肉食を通じて人体にも同じ作用を及ぼす。アレルギー体質の増加や、女性ホルモンの増加、ショック死、最近では狂牛病などの事例もあり、流通食肉への不安感も多い。 「飼料安全法」による規制もあるが、添加物の用途指定によりかえって薬の使用を保証してしまった側面もある。出荷前の一定期間は薬剤投与禁止となっているが、現実には薬事法を無視して畜産農家がヤミで使うため、肉中に注射や飼料添加物が検出される。 |
●自然養豚法で育まれた安全な豚肉や 加工品のすすめ 狭い日本とは言っても、山村では過疎化が進行し、遊休地は多い。高齢化による人手不足で、年々荒地が拡大している。 環境に負荷をかけることなく営める自然養豚の適地は無限にある。 一方では、飽食であふれる食品の残渣や、加工残渣、産業廃棄物として焼却される有機物は多い。 それらが分散して自然放牧地に還元されれば、飼料としてのみならず、荒廃した農地の土壌を肥沃化してくれるのだ。 輸入穀物に頼らざるをえない日本。穀類を人間が直接摂取すれば、世界の飢えが緩和されることも事実である。 このしがらみを断ち切るためにも、自然養豚(家畜)が新しい方向性を秘めているのである。 |
(参考資料)「怖い食品 動物工場」高松修監修、横山孝雄・文・マンガ/ナショナル出版刊